名前の無い物語

伊織の言葉に
吉野は苦笑いを浮かべた

「俺にはまだ無理だよ。研修にも行かせてもらえてないんだし。」

「もしかしたら、マスターになった陽斗が連れてってくれるかもよ?」

吉野は陽斗の方をチラリと見る
そして、ハァと一度ため息を吐いた

「いや、陽斗と行ったらコキ使わされるに決まってる。

なら俺は伊織が良い。」

「てめぇもっかい言ってみろ。」

陽斗は吉野の首を締め上げた

「ちょ、陽斗ギブギブっ!」

「生意気なガキにはお仕置きだ。」

「うおー!」と本気で苦しがっている吉野を
陽斗は面白そうに見つめていた

「プッ。」側にいた伊織の笑い声に
二人の動きは止まる

「何笑ってんだよ伊織?」

「だって…あなた達まるで兄弟みたい。」



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