名前の無い物語
+信じる者は救われる
その日は雨が降っていた
夕方で、厚い雲が空を覆っていた薄暗い日
傘も指さずに倒れている少年の姿があった
僅かに開いている瞳には光は無く
只…無だけが存在していた
心はない
まるで人形のような少年に…容赦無く叩き付けられる雨
だけど、ある瞬間
少年を襲う雨は無くなった
その変化に、少年は顔を上げる
そこにいたのは、自分を傘に入れてくれている
一人の男性
「…運命は、動き始めましたか。」
勿論、そう呟いた男性の言葉を
心が壊れている少年が理解できている筈はない
男性はニコッと優しい表情を浮かべて
「一緒に来ませんか?」と少年に問い掛けた
心が無い少年には、何が起こっているか全く理解出来なかったが
只1つだけ…確信していた
雨は、止んだとーーーー