名前の無い物語
「海、柚歌!!」
空の突然の声に
二人は目を丸くした
「どうしたの?」
「何が…ーー!?」
海と柚歌も開いた部屋を見る
そこには、もぬけの殻になったベットがそよ風に揺られていた
「吉野!?」
「アイツ…どこ行ったんだよ!!」
部屋のどこを見渡しても
ベットに寝ていた吉野の姿は無い
医務室は一階だ
恐らく…この窓から外に抜け出したんだろう
「クソ、油断してた!」
空がガン、と扉を蹴った
吉野が精神的に不安定になることは予想出来ていたのに
まさか…抜け出すなんて…
「葵、吉野君を!」
「待て柚璃!」
葵が能力を発動しようとした瞬間
海の制止が部屋中に響いた
「海…?」首を傾げる柚璃
「俺達が…自力で見つける。」