名前の無い物語
柚歌の提案は正しい
海と吉野は頷いた
「1つ確認しておきたいんだけど…。」
柚歌の言葉に二人は首を傾げた
「何だよ?」
「私達皆影に襲われてここに来た…。ということは、あなた達も何かしら戦えるって事でいい?」
吉野は一瞬言葉に迷った
確かにあの時剣を使ったけれど
一体自分はいつ剣の使い方を学んだのだろう?
「…成る程、重要な事だな。」
「何も知らない以上、この先何があるか分からないわ。
いざとなったら、戦う事だって必要かもしれない。」
戦う
今まで自分には無縁だった言葉
「俺は氷の能力者。訳あって俺達の世界では能力者って奴が居るんだ。」
最初に言ったのは海だった
「私は“調和”と“調律”の能力者。理由は言えないけど…私も特別に能力を持ってるの。」
その次に言った柚歌
吉野はもう一度お守りを見て
覚悟を決めた
「俺は…多分剣を使える。」