名前の無い物語

吉野は咄嗟に右に避けた

すると、さっきまで吉野が居た場所から氷の華が生えてくる

もしあのまま避けていなかったら、氷付けになっていたに違い無い

「っ…!」息を呑む吉野
それに対し、海は攻撃の手を緩めない


「‘氷結凍土’。」

一気に冷え出す空気
瞬間、吉野の両足はキィンと音を立てて凍らされた

「なっ!」

身動きがとれない

その隙を狙って海は間合いを詰める
振りかざされた剣を
吉野はギリギリ受け止めた


「…何で止めたの、空?」

その光景を見ながら
柚歌は責めるように空に言った

「仲間内で争ったって意味無いじゃない!このままじゃ、本気で海は吉野を「伝えてるんだよ、海は。」

「えっ?」空の言葉に
柚歌は首を傾げた

空は海と吉野に視線を送り続けながら
言葉を紡ぐ

「アイツは伝えてるんだ…。自分の強さを。居なくならないことを。全部…能力に込めてんだよ。」








< 444 / 595 >

この作品をシェア

pagetop