名前の無い物語

吉野の不安

また、伊織さん達のように自分の前から居なくなっていく事

それを…吉野は死ぬほど恐れてる


だから伝えなきゃいけないんだ

俺達は絶対に殺られないって
絶対に…吉野の目の前から消えないって

自分の能力をもって、全力で

時には、言葉だけじゃ伝わらない事だってたくさんあるのだから…


「男には、拳でじゃねぇと伝わらねぇ事
もあるって事だよ。」

そう言って
空はようやく柚歌に笑みを浮かべた


「…海。」

それが海の狙い

その間にも、キリキリと二人は剣でぶつかり合っている
チッと吉野は舌打ちを吐いた

耐えている腕が、剣圧でしびれ始める

「何で…何でだよ海!」

自分に冷たい瞳を向けている海に
吉野は必死に叫んだ

「何で…俺達仲間じゃなかったのかよ!?」

もし、そう思ってたのが俺だけだったのなら
その時、俺は…?

「…その言葉、そっくりそのまま返してやるよっ!」






< 445 / 595 >

この作品をシェア

pagetop