名前の無い物語
吉野の不安
また、伊織さん達のように自分の前から居なくなっていく事
それを…吉野は死ぬほど恐れてる
だから伝えなきゃいけないんだ
俺達は絶対に殺られないって
絶対に…吉野の目の前から消えないって
自分の能力をもって、全力で
時には、言葉だけじゃ伝わらない事だってたくさんあるのだから…
「男には、拳でじゃねぇと伝わらねぇ事
もあるって事だよ。」
そう言って
空はようやく柚歌に笑みを浮かべた
「…海。」
それが海の狙い
その間にも、キリキリと二人は剣でぶつかり合っている
チッと吉野は舌打ちを吐いた
耐えている腕が、剣圧でしびれ始める
「何で…何でだよ海!」
自分に冷たい瞳を向けている海に
吉野は必死に叫んだ
「何で…俺達仲間じゃなかったのかよ!?」
もし、そう思ってたのが俺だけだったのなら
その時、俺は…?
「…その言葉、そっくりそのまま返してやるよっ!」