名前の無い物語
ハァ、とわざとらしく溜め息を吐いて
渚は海に拳を向ける
「海のくせに生意気。俺達の強さは分かってんだろ?」
「本当に。海なんか居なくったって私達の強さは変わらないわ。」
「…渚…美憂…。」
二人はニコッと笑って
それに対して海も笑った
「海の方も、頑張れよ。」
「…ありがとう、愁。」
愁の言葉に
海はギュッと拳を握りしめた
「気を付けてね。」
「一瞬で終わらせて来てやるよ。」
「…あぁ。」
柚璃と夾に笑みを返す
「…あの、ありがとうございました。」
葵に対して
吉野は軽く頭を下げる
「…俺、漸く前に進めそうです。」
まだぎこちなく
だけどフンワリと笑った吉野の笑顔に
葵は安心したように笑い返した
「…華。」