名前の無い物語
ある校舎の、ある絵を抜けた先
辿り着いた所は、何故かある高級そうな一室
「待ってたよ。」
そして、一番奥に置かれている一際大きい椅子に腰かける
外見とは似つかわない、全てを見透かしそうな瞳を持った…幼い少女
「…來。」
少女ーー來はニコリと笑う
けれど、その周りに纏われている威圧感に
初対面の吉野達も少し身震いした
「急に呼び出してごめんね。だけどれは、必然的な事だから。」
それはさっきもstayが言っていた
予定が変更した、と…
「今まで君達に巡ってもらってた世界は、デュアンテの増加で急激に闇に近くなった世界。
だからデュアンテを倒すことで、光と闇の量が安定して、結果的に世界を光に留める活動をしていたの。」
「…デュアンテって、今回いきなり現れたんじゃねぇの?」
空の疑問に、來は首を横に振った
「デュアンテは人の心から産まれるもの。憎しみや悲しみ…そういった負の感情が溢れて、デュアンテを産む。
だから今までも世界にはデュアンテは存在していたの。吉野君はよく知ってると思うけどね。」
來の言葉に、皆の視線が吉野に向かう
確かに來の言う通り
陽斗や伊織のような…ソードマスターは世界の光と闇の均衡を保つための存在
よって、ソードマスターの任務は世界を飛び回ってデュアンテを倒し
光と闇の量を調節することだった
所謂、世界の監視者
「だけど、闇の探求者が現れ、世界中のデュアンテの数が急激に増え続けた。ソードマスターを失った私達長老会は、君達に白羽の矢を立てた。」
「…それが、今回の旅か…。」