名前の無い物語
いきなり紡いだ來の言葉に
四人の視線は向く
「その扉は世界と世界を繋ぐ鍵。散らばってしまった世界に唯一ある共通点。」
「そんな扉が…。」
そんなの、沙耶のお伽噺にも出てこなかった
柚歌は首を傾げた
「じゃあその扉を通れば吉野の世界にいけるって事だろ?
どこにあんだよ?」
「落ち着けよ空。それは異空にあるんだから、とりあえずこの世界から出ねぇと…。」
「その必要は無いよ、海。」來の言葉に
全員が首を傾げた
世界を繋ぐその扉は、異空にある
なら、この世界に居ても意味はない筈
「その扉がある場所まで伸びている天空の塔がある。そこを通れば、異空の闇なんか気にせずに扉に行けるわ。」
「じゃあ、その塔はどこに…。」
吉野の問いに來はニコッと笑って
人差し指を上に差した
「…天界だよ。」