名前の無い物語
海も立ち上がって
取手を握る
徐々に能力を取手に解放した
「「!?」」ガシャンと音と共に
エレベーター内の電気がつく
と同時に、ずっと開いていたドアがゆっくりと閉まっていった
「え、えぇ!?」
「動く…のか!?」
何がなんだか分からないまま
グゥンと音がなる
そして、まるで重力に逆らうような感覚が吉野達を襲った
「海の能力で動いたみたいだな。」
「あぁ…。俺や柚歌の力じゃ、たぶん適合しなかったんだろう。本来この世界には無い力だしな。」
確かに空の言う通りかもしれない
この世界にはこの世界のものにしか適合しない
私達の存在は、イレギュラーなものなのだ
「じゃあ悪いけど…このままよろしくね、海。」
「あぁ。こんなの余裕だし。」
この程度の能力の消費、チョロいもんだ
エレベーターは順調に上昇し始めた