名前の無い物語
*星空の中の夢
「…どうやら、動き出したようじゃの。」
研究室のような部屋にある、デカイ画面
それを見ながら、鎖邊はニヤリと笑った
「再び繋がった記憶の鎖…。それを取り戻した今、完璧な純粋な光の心が誕生した。」
記憶を失い、ボロボロになった吉野の心
新たな人格が生まれた時でさえ、彼の心は不安定だった
だが、記憶を取り戻した今となっては
その心は強力な光の心となっていた
それこそ、鎖邊が狙っていたような代物に…
「そろそろ出番のようじゃの、黒蘭。」
視線を変えることなく
後ろの壁にもたれ掛かっている黒蘭に言葉をかけた
仮面の中から向ける視線
鎖邊はフッと笑った
背中で組んだ両手
そこに、いきなり現れる灰色の光
光が弾けた後には
鎖邊の手には…灰色の剣が握られていた
「行こうか…全ての終わりを観るために。」