名前の無い物語
吉野の言葉に、二人は目を丸くした
「ちょっ…!」
「オイ、吉野!!」
空と柚歌は止めに入るが、吉野は二人に見向きもせず
ガーディアンだけを見つめた
『分かりました。ではこの子についてきてもらえますか?
あとそちらの方は、よろしければこの子が運びますが…。』
キュイン、と音がして
空の下にガーディアンの腕が伸びてくる
その腕は気を失っている海を掴むと、そのままガーディアンは自分の肩に担いだ
その行動を、空は止めることが出来なかった
下手に動けば殺られる
その可能性が頭から離れなかった
『では参りましょう。足元に気を付けて下さい。』
その声と共に、ガーディアンは反転する
動き始めたソレの後を、吉野は迷いなく歩き始める
空と柚歌はチラリと目を合わせ、仕方なく立ち上がって二人の後に続いていく
シャトルから延びた一本道
少し歩いた所には、巨大な扉が見えた
その目の前でガーディアンは止まる
「…こんな所に扉が…。」
見上げる吉野
扉のてっぺんは見えなかった
『辿り着いたようですね。では、迎えにあがります。』
その言葉を最後に、プッと音声が途切れる
「…吉野、何で言う通りに従ったんだよ?」