名前の無い物語
沈黙が続いた
「何を…。」震える声でこの沈黙を破ったのは
やっぱり柚歌だった
「何言ってるの…吉野…。」
「本当にな。何の冗談だよ?」
「冗談なんかじゃない。」柚歌と空の言葉に吉野は首を横に振った
「オーバードライヴには、純粋な光と闇の心が必要なんだ。黒蘭は俺から生まれた存在…俺以上に、アイツと適合する心があるとは思えない。だから博士はあの時俺を殺さなかった。
つまり、俺と黒蘭はオーバードライヴを起こすための唯一の材料なんだ。
なら、どちらかが消えれば…オーバードライヴは起こらない。」
俺達二人が存在する限り
世界が危険に晒されるのなら
俺は…
「…早まんな、吉野。」
ポン、ま海は俺の肩に手を置く
「俺達は仲間だ。仲間を犠牲にして手に入れた平和なんて要らねぇんだよ。」
「そうよ。吉野一人で犠牲になる必要なんてないわ。」
「俺達が力を合わせて黒蘭と鎖邊を倒す…それで解決だ。
お前が消える必要なんてない。」
三人の言葉に吉野は目を伏せる
暖かい言葉
嬉しい言葉
だけど…俺の決意は揺るがない
「…仲間だから、友達だから、皆に頼みたいんだ。」