名前の無い物語








吉野を先頭に、四人は足を進めていた
時おり、吉野は辺りに視線を送る


見慣れた光景
その景色が全て…色を失ったモノクロになっている

たまに見る住人も、まるで石化したようにピクリとも動かなかった


これが、世界を封印するということ


この世界の『時間』は…止まったままなんだ


「あれだ。」

広い広場の向こう側に
懐かしい…巨大な建物が目に入る


あれが、ソードマスターを育てていた修練場
吉野と陽斗と伊織が…出逢った場所


「待って、誰か倒れてるわ。」


広場に入ろうとした瞬間
そこに転がっている…三人の姿


その姿を確認した瞬間
吉野の足は止まった


「陽斗…伊織…師範…!」





< 519 / 595 >

この作品をシェア

pagetop