名前の無い物語
無意識に走り出す吉野
固まるように倒れた大切な友達
吉野は伊織を抱き起こした
「伊織…伊織っ!」
俺の記憶が正しければ
伊織はまだ…生きていたのに…
石化された伊織は表情1つ変えず
ピクリとも動かなかった
「…っ!」悟った瞬間
体全身が震えたのを、吉野は感じた
「吉野…大丈夫?」
心配した柚歌が、吉野を後ろから支えた
…彼の"音"が乱れ始めてる
動揺してるんだ…
倒れている三人の姿を見て、柚歌は唇を噛み締めた
「なぁ、伊織さんの…その光…。」
空の言葉に
吉野は視線を向ける
伊織の胸の上に
キラキラと輝いている白い光
唯一色がついている…暖かい光
「なんで…?」
これは一体…?
吉野は手を触れた