名前の無い物語

無意識に走り出す吉野

固まるように倒れた大切な友達
吉野は伊織を抱き起こした


「伊織…伊織っ!」

俺の記憶が正しければ
伊織はまだ…生きていたのに…

石化された伊織は表情1つ変えず
ピクリとも動かなかった


「…っ!」悟った瞬間
体全身が震えたのを、吉野は感じた


「吉野…大丈夫?」

心配した柚歌が、吉野を後ろから支えた

…彼の"音"が乱れ始めてる
動揺してるんだ…

倒れている三人の姿を見て、柚歌は唇を噛み締めた


「なぁ、伊織さんの…その光…。」

空の言葉に
吉野は視線を向ける

伊織の胸の上に
キラキラと輝いている白い光

唯一色がついている…暖かい光


「なんで…?」


これは一体…?


吉野は手を触れた






< 520 / 595 >

この作品をシェア

pagetop