名前の無い物語
ニッと笑って言う海
その表情に、吉野の力は徐々に抜けていった
「いよいよね、吉野。」
「全部終わったら、皆でもう一度伊織さん達に会いに行こうぜ?」
柚歌と空も優しく笑った
…そうだよな
俺は、一人じゃない
チャリ、と吉野は御守りを取り出す
『離れていても必ずまた会える』
そんな意味が込められた、誓いの御守り
「…必ずまた会える、か…。」
大丈夫
信じていれば、きっと…
扉を通る前に最後に見せた吉野の表情は
笑顔を浮かべていた