名前の無い物語

どこまでも荒れ果てた地が続く荒野
ニヤリと怪しい笑みを向けながら、こちらに振り返る鎖邊を

吉野は真っ直ぐ見据えていた

「…博士。」

記憶を思い出して出逢ったのは
あの日…伊織達が死んだ日以来だ

前に俺達をあの場所に連れ込んだのは
俺の記憶を蘇らせるため、か…


「良い瞳じゃ、吉野。」

完全にこちらに向き直って
鎖邊も吉野を見据えた


「本当にお主は、最高の心を持っておるのぅ…吉野。」

怪しく笑う鎖邊

きっと、今までの俺なら博士から発せられる威圧感に震えていただろう

だけど、今は…


「…お前の思い通りにはさせない、博士。」

後ろで、俺を支えてくれる

皆がいる


「オーバードライヴは、起こさせはしない!」






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