名前の無い物語
「…え?」吉野は顔を歪めた
一瞬発せられた恐怖感で
背筋が凍った
「お主はもう十分過ぎるくらいの心に成長した。
お主の意思など関係無く、これは決定事項なのじゃ。」
一瞬だった
鎖邊のその言葉と同時に
隣に立っていた黒蘭が、瞬時に吉野の目の前に迫ってきた
「ーーっ!」
速すぎるその速度に吉野は反応しきれず
気がついた時には、黒蘭に捕まっていた
「吉野っ!」
柚歌の声が響いた瞬間
吉野の黒蘭はシュン、と音を立てて視界から消えた
「なっ!」
「消えた…!?」
自分達の目の前から消えた吉野
海はすかさず持っていた輝石…千里眼を発動させる
…この世界から吉野の反応が、ない?
じゃあ一体…
「…時が来た。」
三人は鎖邊に視線を向ける
「ついに起こるのじゃよ。心が起こす最悪の革命…オーバードライヴが。」
「…んなの、させるかよっ!」
三人同時に、能力が解放される
三色の光がそれぞれ包み込んでいた
それを見て、鎖邊は溜め息を吐く
「…本当に、愚かじゃのうお主らも…。」
そんな鎖邊にお構い無く
海と空は間合いを詰めていった