名前の無い物語
「ぅ…!」
黒蘭の手が離れ、吉野は地に着地する
だが自分を取り巻く環境は、荒れ果てた荒野から
何処までも暗い…空間に変わっていた
…違う世界に移動したのか…?
いや、ここは…
「今、光と闇は1つになった。」
「!」フワリ、と黒蘭は地に着地する
吉野は咄嗟に構えた
徐々に、黒蘭の仮面は剥がれていく
「…っ!」全ての仮面が剥がれ、見えた顔は
黒髪の吉野そのものだった
「…俺!?」
吉野の反応に、黒蘭はハハッと笑う
「何驚いてんだよ?俺はお前の闇の心から生まれたんだ。つまり、お前の分身なんだよ。」
…そうか
黒蘭は俺の闇の部分
そりゃ、俺と同じ顔だよな…
「つまり、ここは俺達の心の中。あとは、お前が闇に飲まれればオーバードライヴは発動する。」
俺が
俺が、黒蘭に負ければ…
「…オーバードライヴは起こさせない。
俺が、お前を倒す!」
吉野の言葉に、また黒蘭は笑い声を上げる
「俺を倒す?お前話聞いてなかったのかよ?
俺はお前の闇を司る…つまりお前の心の一部だ。
俺を倒せば、お前の心もまた壊れるぜ?」
心の破壊
次、心が粉々に砕ければ
それこそ、元に戻る保証は無い
けど…
「それでもかまわない。」