名前の無い物語
「っ…!」
実際止められている空にとっても予想外だったのか
目を丸くした
「なっ…!」
「アイツ…これでも届かねぇのかよ!」
3対1のこの状況でも
鎖邊には…攻撃が届かない
「フム…思ったよりはやるようじゃの。中々面白い力じゃ。」
ニヤリ、と鎖邊が笑った瞬間
空に襲う威圧感
その一瞬の隙
受け止めている反対の手で作った闇を、空の腹に撃ち込んだ
「っ…!!」
「「空っ!」」
何とか反応して、空は壁を作り鎖邊の攻撃を受け止める
が、その威力に空は後ろに吹き飛ばされてしまった
「チッ…!」
何とか受け身をとり、着地する空
技を受け止めた左手は…ビリビリと痺れていた
…確実に隙をついたと思ったのに
あれも止められるのかよ…
痺れが治まらない左手をプラプラさせながら
空は戦っている二人の光景をジッと見つめる
…俺達が今、ここまで戦り合えてるのは、鎖邊が俺達の能力に免疫が無いからだ
吉野達みたいなソードマスターの力はともかく、異国の力で対処に時間がかかってる
「長期戦は不利…。」
アイツがこの力の戦闘リズムに慣れてしまったら
俺達の勝ちは無くなる…!
この状況をすぐに回避できる、絶対的な力
それがあれば…
「…’破壊‘の力を使うしかないか…。」