名前の無い物語

そうだった


「…そうだよな。」


約束したのだ


また、皆で星を観ると…


「こんなとこで鎖邊と相打ってたら、『約束』…破るとこだった。」

「あぶねぇあぶねぇ。」と、空は苦笑いを浮かべた


「けど、このままじゃ埒が空かない…。」

結局、空の言った通り

私達の力が悟られれば…勝ちは無くなる


決着を着けるなら、一撃でやるしかない



「ぐっ!」

キィンと海の剣は鎖邊に弾かれて遠くに飛んでいく
その隙をついて、鎖邊は海目掛けて剣を向けた


「海!」

「っ…!」一瞬の判断
海は咄嗟に重心をそらせて避け
そのまま片足を軸に回し蹴りを決めた

「…ほぅ。」鎖邊も多少予想外だったものの
冷静に対処し剣で受け止める

怪我をした方の肩を動かすことは、鎖邊は全く無く
片手だけで海を相手出来ていた


「何よ、アイツ…。」

信じられない、と柚歌は顔を歪める

こっちは3対1でやりあってるのに
鎖邊は片手だけで相手が出来る


こんなの…


「最強じゃない…。」


「…『最強』?」

柚歌の言葉に
空は反応した

ーー消滅魔法、だってさ!すごくね!?ーー



聞き覚えのあるその単語に
空はある記憶を思い出す





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