名前の無い物語
「消滅魔法?」俺は疑惑の目で彰を見た
何だ、ついに普通の魔法じゃ倒せないと思って
作者は躍起になったか
確かに消滅でもしてくれたら、簡単に辻褄合うしな
「何だよその目は!言っとくけど、この魔法めっちゃすげぇんだからな!」
彰の言葉をまだ信じない空
ハァ、と彼はため息を吐いた
「いいか、見ろこの台詞。コイツらは、主人公は炎系、魔法使いはどっちかってと氷系の魔法が得意なんだ。んでこの魔法は、その2つの最強の魔法を使う。」
「…2つの魔法、ねぇ。」空も漫画に視線を移した
「この魔法が『消滅』って言われてんのは、その名の通り完全に消し去る事が出来るからさ。
ここにも書いてあんだろ?炎熱系は+極で働いてる力、対して氷結系は-極で働いてる力。この相反する力を敵に同時にぶつける…そんな逆の力を同時に受けたら自然の摂理的に消滅だ。」
まぁ、確かに…
それも一理あるな…
「だから、これが究極で最強の魔法なんだ。これじゃなきゃラスボスは倒せねぇ!
な?一巻から貸すからお前も読めよ空!」
「遠慮しとく。」
「空ー!」と駄々をこねる彰を他所に
空はパラパラとページを捲っていった
…てか、何でこんな熱弁されてんだろう?
こんなの知ってても、魔法も何もないこの世界で何の役に立つ?
「…バカだな、俺も。」
そんな事を思いながら
窓の外から空を見上げた
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