名前の無い物語
そんな声が聞こえた瞬間
鎖邊を囲む…無数の音
「柚歌?」
背後を振り返ると、こちらに対峙している柚歌の姿
空はもういいんだな…
海はどこか安心した
鎖邊が音を弾き飛ばそうと構えたその時
柚歌は力をさらに込める
「…。」鎖邊の顔が少し歪んだ
…鎖邊を抑え込んだ
今なら、まだ追い込める筈だ
海が鎖邊に向かおうとした瞬間
ーー海ーー
突然心に響いた声に
海は足を止めた
この声…柚歌…?
チラリと海は柚歌の方に振り返る
次々と、海の心に柚歌の声が響いていった