名前の無い物語

そんな声が聞こえた瞬間
鎖邊を囲む…無数の音


「柚歌?」

背後を振り返ると、こちらに対峙している柚歌の姿

空はもういいんだな…

海はどこか安心した


鎖邊が音を弾き飛ばそうと構えたその時
柚歌は力をさらに込める

「…。」鎖邊の顔が少し歪んだ

…鎖邊を抑え込んだ
今なら、まだ追い込める筈だ

海が鎖邊に向かおうとした瞬間


ーー海ーー


突然心に響いた声に
海は足を止めた

この声…柚歌…?


チラリと海は柚歌の方に振り返る

次々と、海の心に柚歌の声が響いていった











< 553 / 595 >

この作品をシェア

pagetop