名前の無い物語
一瞬で心に伝えられた、最後の策
鎖邊を抑え込んでいる柚歌の向こう側
そこには、苦しそうに息を切らしながらも、強い瞳で鎖邊を見つめる空の姿
…きっとこれが、最善の策
海はそう思い、覚悟を決めた
「‘舞蝶氷柱’!」
海が唱えると、鎖邊の真上に現れる氷の塊
それらは、容赦無く鎖邊に堕ちていく
シャァン、と衝撃と共に現れる煙
その隙に海は空の下に走り出した
途中、鎖邊に向かっていく柚歌とすれ違う
「後は任せたわ。」
「お前こそ、殺られたら許さねぇからな。」
海のその言葉に、柚歌は「当たり前。」と呟いた
その時の表情は…柔らかく
幸せそうに笑っていた
後は空と海に任せればいい
そのチャンスを作れるかは
私にかかってる…!
「‘ワルツ’!」
柚歌が鎖邊に技を放つ
鎖邊にとって特に不慣れな…柚歌の‘音’
フム、と彼は顔を歪めた