名前の無い物語

一瞬で心に伝えられた、最後の策

鎖邊を抑え込んでいる柚歌の向こう側
そこには、苦しそうに息を切らしながらも、強い瞳で鎖邊を見つめる空の姿


…きっとこれが、最善の策

海はそう思い、覚悟を決めた

「‘舞蝶氷柱’!」

海が唱えると、鎖邊の真上に現れる氷の塊
それらは、容赦無く鎖邊に堕ちていく

シャァン、と衝撃と共に現れる煙

その隙に海は空の下に走り出した

途中、鎖邊に向かっていく柚歌とすれ違う

「後は任せたわ。」

「お前こそ、殺られたら許さねぇからな。」


海のその言葉に、柚歌は「当たり前。」と呟いた

その時の表情は…柔らかく
幸せそうに笑っていた


後は空と海に任せればいい

そのチャンスを作れるかは
私にかかってる…!


「‘ワルツ’!」

柚歌が鎖邊に技を放つ

鎖邊にとって特に不慣れな…柚歌の‘音’
フム、と彼は顔を歪めた








< 555 / 595 >

この作品をシェア

pagetop