名前の無い物語

それは1つの判断ミスだった

柚歌は止まると践んでいた鎖邊
だが現実は…柚歌は流れる血も気にせず、鎖邊に向かっていった


その1つの判断ミスから起こった最後のチャンス
‘変拍子‘によって、鎖邊の四肢は思うように動かなくなる

『支配権』は…柚歌に移ったのだ


鎖邊の動きを止められるのは、多く見積もって数十秒
このチャンス…逃しはしない!


「…今よ!!」


その場に倒れ込む柚歌
その叫びに、鎖邊は海と空に視線を向けた


「「っ…いっけぇぇ!!」」


同時に放たれた炎と氷
その2つの能力は混ざり合って、1つの大きな光になっていく

だが少し
ほんの少しだけ…氷の力が多かった


…っ、絶対合わせてみせる!!


海は即座に自分の量を調節する
鎖邊にぶつかるまで、あと少し

「頼む…いってくれ!」

「お願い…二人とも…。」

「っ…!」

三人はそれぞれ祈りを込める

迫り来る攻撃に、鎖邊は対処しようと試みるが
身体が全く動かない

っ…あの小娘…!


チラリと柚歌を憎しみの籠った瞳で見つめると
光は、もはや目前だったーーー








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