名前の無い物語
覚醒する意識の中
柚歌はゆっくり目を開けた
ぼやける視界
その中で…微かに見えてくる荒野
そして…覚醒してくる記憶
「っ…!」全てを思い出した瞬間
柚歌は起き上がった
痛む脇腹に一瞬顔を歪めるが
見た光景に、柚歌は絶句する
「何…これ…!?」
柚歌と鎖邊が闘っていたのは、巨大な岩が聳え立つ直ぐ側
なのに、その巨大な岩は
跡形もなく『消えていた』
これが、消滅魔法…!?
あまりの威力に、ゾッと身震いをする
何とか避けれたみたいだが、もし技が当たっていたら…
うわー、と柚歌は溜め息を吐いた
ゆっくりと立ち上がって
柚歌は振り返る
少し離れた先に倒れている、二人の姿
「空、海っ!」