名前の無い物語


空から落ちてくるモノ

間違いない

あれは…吉野だ


「っ…吉野!」

「吉野っ!」


咄嗟に三人は走り出す
落ちてくる吉野を眺めながら
落下ポイントを探り出す

「吉野っ!」


「吉野ー!」

手を伸ばすが
あともう少しが届かない

このままじゃ…!

「っ…!」間に合わないと判断した海
最後の力を振り絞って、海は能力を放つ


吉野が地面と接触する…その瞬間
地面と吉野の間に、薄い氷が現れる

パリン、と衝撃で割れると共に
追い付いた三人の手が届く


ドォン、と派手な音が鳴る

倒れ込んだ三人の手は
見事吉野を受け止めていた


「いってぇ…。」

「っ…、吉野!」

自分達の怪我をそっちのけに
三人は吉野に声をかける


「吉野っ!」

「吉…野?」

どれだけ声をかけても
吉野からの反応は無い

息はしている

気を失っているだけなのか?


けどまるで…眠っているみたいに…


「えっ…?」突然驚きの声を上げたのは
柚歌だった

「柚歌?」

「何が…?」

分からない空と海
けど、柚歌は顔を青ざめた

「吉野の’音‘が…聞こえない。」











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