名前の無い物語
柚歌の言葉に
一瞬沈黙が走る
確かに
これから俺達…どうなるのだろう?
「君達にはこれから、それぞれの世界に帰ってもらうよ。君達にも、待ってる人がいる筈だからね。」
語り部はそう答えた
「ちょ、待った!」そんな答えを空は遮る
「俺ってさ、存在消えてたんじゃねぇの?」
「そ、そうだ…!みんな空の事忘れてるのに、どうしたら…。」
空が居なくなったあの日から
世界から『空』の存在が消えた
そんな所に、空が帰る場所が…
「大丈夫。空が復活した瞬間、みんなの中にも空の存在が蘇ってる。彰君も、思い出してる筈だよ。」
その言葉に
空と柚歌は顔を見合わせた
彰…!
その表情は
嬉しさに満ち溢れていた
「この先にポッドがある。そこに入れば、長老会が皆を元の世界に送るわ。
けどそれには、ある条件がある。」
喜びに浸っている暇もなく
語り部の言葉に…吉野達は首を傾げた
「条件…?」
そう、確かに
語り部は今そう言った
「うん。」と語り部は頷くと
いきなり真剣な顔になる
「この冒険の記憶を…抹消する。これが、ポッドに乗る条件だよ。」