名前の無い物語










「適当に座れよ。」


そう言われ、少し遠慮がちに吉野と海は棗と拓也のへやに入る
予想とははるかに上回って、そこには学生寮とは思えない広さの部屋が待ち構えていた



「うわ…すげぇ。」



「これ寮なのか…?」


いや、学園の寮も普通に比べたらめちゃめちゃ良い
にもかかわらず、ここはそれ以上だ


海はポカン、と辺りを見渡した
とりあえず、テーブルの近くに腰かける



「…聞かないんだな、俺達の事。」


海の問いに吉野も二人に視線を移した
いきなり森に現れた俺達
疑ったりはしてたけど、最初からコイツらは怪しんだりはしなかった

普通、見知らぬ奴を部屋にあげたりするのか?



「お前らが何者とか別に関係ねぇし。」



「校長が匿えって言ったからな。俺達はそれに従うまでだ。」





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