名前の無い物語
二人は迷わず言った
「…そんなに偉いのか?あの人。」
「偉いってもんじゃないよ。」吉野の問いに拓也は笑った
吉野にとって見れば、あの人はサンタにしか見えなかった
「校長は今の魔法界を造り上げた第一人者なんだ。最強の魔法使いで、何でも知ってる。」
「そんな校長の下で学べる事が、俺達の唯一の誇りだからな。」
二人の言葉に海と吉野は言葉が出なかった
あのサンタがそこまで凄い人だったのかとは別に
めちゃめちゃ凄い人だったという点に驚いた
ドンドンーー
和んできた空気のなか、突如隣の部屋から音が鳴り響く
四人は視線を向けた
「何だよ桜達。やけに盛り上がってるな。」
「何かあったのか…?」
拓也は立ち上がり、玄関の扉を開ける
めんどくさそうに立ち上がった棗に続き
吉野達もあとを追った
「どうしたんだ?」