名前の無い物語

海は首を横に振った


「別に気にしてねぇし。あの時の柚歌…必死だった。それくらい大切な理由があるんだろ?」



海の言葉に柚歌は一瞬驚いた顔をしたが
すぐに「ありがとう。」と告げた


「それに俺はこんなのいつもの事だし。アイツ等も深く考えてねぇだろうな。」


「えっ?」



ハハッと海は笑う
俺達の日常では突然なんていつもの事だ
何が起こるか分からない…そんな中で生きている


「けどさ…アイツ等は待っててくれると思うんだ。」


俺がどこにいようとも
アイツ等は、帰りを待っててくれる…そんな気がするんだ




「…海は強いね。」


柚歌は景色を眺めた
夕陽が森をオレンジ色に染める


私は子供だった
皆…友達を信じてるんだ



ーー信じるよ…お前らの話ーー



空…君はあの時こんな気持ちだったんだね



「そういえば吉野は?」





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