名前の無い物語
寮から少し歩いた先
吉野は時計台に辿り着いた
「時計台か…。」
上まで一応眺めてみる
が、勿論高すぎててっぺんまでは見えなかった
「本当に広いなこの学園…。」
あの凄すぎる部屋といい、敷地内らしい膨大な森といい
自分の世界では考えられない位のブルジョワ校だと判断出来る
「本当に、違う世界に来ちゃったんだな…。」
さっき校長に話された事
それが事実で、今の自分の現状
「?」微かに聞こえた草の音に、吉野は振り返る
少し離れた所に、どこかで見たことある黒い生物
「あ、お前!」
吉野が気付くと、デュアンテは反転して逃げていく
…俺、一応アレを倒す為にこんな事になってるんだよな?
なら、追いかけるべきなのか?
「待てよ!」
少し迷った挙げ句
吉野はデュアンテの後を追った