名前の無い物語
「「吉野!!」」
寮の入り口の前
森から帰って来た吉野を、柚歌達が迎えた
「一人でどこ行ってたの?探したんだよ?」
心配そうに言う柚歌
「…ごめん。」こんな事になるなんて思っていなかった吉野は一瞬反応が遅れた
「暇だったから、森の時計台を見に行ってて…。」
「陽がくれるとすぐに暗くなるから、あんま森に行かない方がいいぜ?」
拓也の言葉に吉野は頷く
実際、心配をかけた事には変わりない
「そうだ!さっき俺、森でデュアンテを見たんだ!」
「「!!」」柚歌と海の顔つきが変わる
「アイツ等この世界にも居たのかよ…。」
「それで、奴等は?」
吉野は気まずそうに首を横に振る
「追いかけたんだけど…途中で見失ったんだ。」
あの向こうを追う事だって出来た
けど…何故か行ってはダメだって言われてる気がして…
「もしかして…『お屋敷』の所ですか?」