名前の無い物語
「デュアンテ!?」
黒い影
その言葉に吉野達は反応した
「それから気を失っていたみたいで…明け方目が覚め、魔法で寮に戻ろうとしたら…。」
「使えなかった、か…。」
棗の言葉に桜は小さく頷いた
チッ、棗は舌打ちを吐く
「っ…ふざけないでよ、その黒い奴!」
今にも飛び出しそうな柚月を、棗が肩を掴んだ
「離してよ棗!」
「どこに行く気だ馬鹿。」
馬鹿!?
柚月は棗を強引に振り払った
「森に行く!二人の魔法を取り返してくる!」
「寝言は寝てから言えよ。今行ったって犠牲者が増えるだけだ。」
「!けど「柚月。」
柚月の言葉を遮って
桜はニコッと微笑んだ
「棗の言う通りです。今行ったって、今度は柚月が魔法を奪われるだけです。」
「桜…。」
泣きそうなのに、無理矢理作っている桜の笑顔
それを見て柚月は胸を痛めた
「とりあえず、予定通り会議を開くか。」