七川学園裁判部!



俺と京の目の前で、紅茶の湯気が揺れる。

「で、なんの用だよ」

「優しい先輩が後輩の部活の様子を見に来ただけじゃないか、何をそんなにイライラしている?」

京は、流れるような仕種で紅茶を口に運ぶ。

その動作の一つ一つが大袈裟なぐらい芝居がかっている。

「てめぇが来るとロクな事がねーんだよ」

京は小さくため息をつき、カップを置くと前髪をかきあげた。

部員の女子から、小さく歓声が上がる。

そう、京は顔がいいのだ。

目鼻立ちがくっきりとしていて、長い睫毛に白い肌。それに染め上げた金髪とグレーのカラーコンタクトで、日本人離れした顔と雰囲気を作り上げている。

ともすれば女に間違えられそうなもんだが、180センチを越えるの身長のおかげで、間違えられることは皆無だ。

本人も自分の容姿を自覚していて(俺からしたら少々自信過剰気味だが)、振る舞いや喋りにいたるまで自分をコーディネートし、まるでテレビの中の登場人物のように現実味がない。
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