私の彼は子ウサギちゃん!?
「50分!?」
神崎君の言葉に驚く私。
8時50分は朝のHR開始時刻。
遅刻決定だ。
--遅刻なんてしたことなかったのになぁ。・・・でもでも、HRは遅刻だけど、走って行けば1時限目に間に合うよね!!--
さっと気を取り直して、学校までの所要時間を計算する。
それに、確か今日の1時限目は数学のはずだ。
あの数学教師のネチネチとしつこいお説教だけは何としても避けたい!!
ついでにいうと、私は飛びぬけて数学が苦手。
遅れるなんて許されないよ!!
ベンチからさっと立ち上がり、真白の手首を掴んでダッシュの態勢に入ると、彼は引きずられそうになりながらもついてくる。
「みぃちゃん、ぼく、おててがいい。」
真白のおねだりに、手首を掌に掴み変えて、今度こそ本気でダッシュ。
「頑張ってね~。」
公園の出入り口付近に差し掛かったころ、少し遠くから声が聞こえたので、立ち止まってそちらに目を向けると、神崎君が笑顔で突っ立っている。
怪訝そうなわたしの顔に気付いたのか、
「あ、俺は今から連絡するからお構いなく。・・・”家の事情で少し遅刻します。”ってね。」
そう言って、携帯を片手にひらひらと手を振った。
―なんですと!?―