茜色の天使~月夜の天使・番外編
「だめだぁ!美織ちゃん!死ぬな!!」


無我夢中になって叫びながら橋の上に駆け上る。


息を切らして美織の前まで駆け上がると、美織はきょとんとした顔でオレを見つめていた。


あれ・・・?


「死ぬって?」


「あ、いや・・・オ、オレ、覚えてる!?千葉亮太って言うんだけど・・・」


「う~ん、あ、わかった!加奈先輩のお友達でしょ?」


友達・・・まぁ、そういうことにしとこう。


「ああ、そう、友達!最近渡瀬のとこに来ないけど、どうしてんのかなって思って・・」


なんか、しどろもどろになってるぞ、オレ。


美織はこんな疑わしいオレに対しても、何も警戒心もないような澄んだ瞳でオレを見つめる。


「美織、入院してたんだ。体調が良くなくて。でも、抜け出してきちゃった。ここにいたら、十夜先輩が通るかもしれないし」


美織ちゃん・・・。


美織の寂しげな笑顔にオレの目の奥が自然と熱くなるのを感じた。


「須藤十夜、かっこいいもんな。美織ちゃんが好きになるのわかるよ」


言えない。


こんな健気な美織ちゃんにオレの気持ちなんて・・・。


「美織、死ぬまで十夜先輩が好きよ。片想いでもいいの。ただこの気持ちを伝えたいの。そして、十夜先輩が大好きな加奈先輩と幸せになって欲しい」


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