茜色の天使~月夜の天使・番外編
高校3年の夏も終わりに近づいたあの日。
「亮太!すごいぞ!今、剣道部で果し合いやってるぜ!」
教室中がざわめいた。
しかも、その果し合いは、剣道部の主将の須藤十夜に、剣道初心者の1年の女子が挑んでいる、というのだ。
「面白すぎる!行くぜ!」
クラスでも1、2を争うお調子者のオレ。
こんな面白い光景を見逃すか、という勢いで教室を飛び出していた。
「須藤十夜!勝負!」
体育館に入るなり聞こえてきた精一杯張り上げたような女の声。
オレは人垣をかき分けて前へ進み出る。
そこには対峙する一組の男女。
女子の人気を欲しいままにしている憎きクールガイ、須藤十夜と。
それに挑むように対峙する、か弱きくりくりの瞳の美少女。
一体どういうことだ、これは!?
「待てよ。何そんなに焦ってんの?俺と勝負したいなら、まず剣道部に入って、せめて防具つけてくれ」
須藤十夜は呆れたような声で、少女を諭す。
「だって、私は十夜先輩の事好きだから。入学してから何度告白してもだめだって言うし、そしたら、この前、3年の渡瀬加奈とデートしたって噂で。美織、もうどうしたらいいかわかんなくて・・・。どうしたら十夜先輩の心をつかめるの?」
うちのクラスの渡瀬加奈が宿敵か。
振り向くと、渡瀬加奈がきょとんとした顔で行列の後ろに立っていた。
「渡瀬加奈!美織ちゃんが用があるってさ!前出ろよ」
こういう事件には、当人が出るのが一番だ。
オレは自分の中だけのポリシーを大切に、渡瀬を二人の前へ誘導した。
渡瀬はいつもからかうオレに苦手意識があるらしく、一瞬オレを睨みつけたが、観念してゆっくりと前へ歩き出した。
「亮太!すごいぞ!今、剣道部で果し合いやってるぜ!」
教室中がざわめいた。
しかも、その果し合いは、剣道部の主将の須藤十夜に、剣道初心者の1年の女子が挑んでいる、というのだ。
「面白すぎる!行くぜ!」
クラスでも1、2を争うお調子者のオレ。
こんな面白い光景を見逃すか、という勢いで教室を飛び出していた。
「須藤十夜!勝負!」
体育館に入るなり聞こえてきた精一杯張り上げたような女の声。
オレは人垣をかき分けて前へ進み出る。
そこには対峙する一組の男女。
女子の人気を欲しいままにしている憎きクールガイ、須藤十夜と。
それに挑むように対峙する、か弱きくりくりの瞳の美少女。
一体どういうことだ、これは!?
「待てよ。何そんなに焦ってんの?俺と勝負したいなら、まず剣道部に入って、せめて防具つけてくれ」
須藤十夜は呆れたような声で、少女を諭す。
「だって、私は十夜先輩の事好きだから。入学してから何度告白してもだめだって言うし、そしたら、この前、3年の渡瀬加奈とデートしたって噂で。美織、もうどうしたらいいかわかんなくて・・・。どうしたら十夜先輩の心をつかめるの?」
うちのクラスの渡瀬加奈が宿敵か。
振り向くと、渡瀬加奈がきょとんとした顔で行列の後ろに立っていた。
「渡瀬加奈!美織ちゃんが用があるってさ!前出ろよ」
こういう事件には、当人が出るのが一番だ。
オレは自分の中だけのポリシーを大切に、渡瀬を二人の前へ誘導した。
渡瀬はいつもからかうオレに苦手意識があるらしく、一瞬オレを睨みつけたが、観念してゆっくりと前へ歩き出した。