茜色の天使~月夜の天使・番外編
すると美織と名乗る女子が持っていた竹刀を床にたたきつけ、須藤十夜に抱きついた。


女子たちの黄色い悲鳴がこだまする。


「十夜先輩!好きなんです!美織、がんばるから。加奈さんよりもっと、綺麗になるから」


だまって美織にされるままになっていた須藤十夜が口を開いた。

「美織ちゃんだっけ」
「十夜先輩!やっと名前覚えてくれたんですね!」
「何度も告白したっていったよね?」
「はい!入学してから、え~と、5回!」
「悪いね。そんなもんじゃ俺の心はつかめないぜ」

須藤十夜は美織をぐっと突き放し、竹刀を手に取る。

「俺が欲しいのは、永遠の愛」



かっけぇー!


素直にそう口に出しそうになり、慌てて口をつぐんだ。


オレには絶対言えないセリフだぜ。


オレの中で、須藤十夜がただの女子に人気のある男から、憧れの男性象に変わった瞬間だった。


そして、その日から


オレは、美織に恋をしていたのかもしれない・・・。


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