茜色の天使~月夜の天使・番外編
「加奈先輩!」


その可愛らしい声に、思わずドキっとして振り向く。


見ると、美織が教室の戸口に立って渡瀬に声をかけていた。


「加奈先輩。今日も一緒に帰りましょ!」


あいつ、恋敵なのに、仲良く一緒に帰ってるんだ。


なんだか、その健気さに胸がキュンと高鳴った。


でも、お調子者のオレの性格が


「渡瀬!刺されるなよ!」


なんて言ってしまう。


「千葉、あのね~!美織ちゃんはとってもいい子よ!」


渡瀬は怒った顔で振り返ると、美織の手を取り教室を出ようとする。


「美織ちゃん、オレ、千葉亮太って言うんだ。クラスの人気者。覚えといてよ」


美織は渡瀬に手を引かれながら振り返ると、ニコっと天使のような無垢な笑顔をオレに向けた。


その瞬間


オレは、初めて、オレの「天使」に出会ったと


・・・・確信した。

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