Bloody×Lovers
「本当に?」

「本当だ」

「本当の本当に?」

「・・・直すようにしろよ」

恥ずかしい。

顔から火が出そうな、そんな感じ。

「頬が紅潮していくのがよく分かる。これごときのことが恥ずかしいのか?」

「これごときじゃないですよぅ・・・。匡様は恥ずかしかった事くらいあるでしょう?」

「・・・無い」

「・・・え」

「いや、無いではなく忘れた、が正しいな」

「忘れたって・・・」

記憶を失ったことがある、という事?

「長い長い時を生きすぎるんだ、俺たちは」

「・・・生きすぎる?」

匡様は、何処か悲しそうな目をしている。

「俺たちの始まり───始祖は、魔族と人間の混血だったらしい」

匡様はポツリポツリと話し出した。

「始祖は、病弱であり短命でもあった。そこで、病弱ではなくなる方法を、長く生きられる方法を探したんだ」

永遠の命を欲するのは、人間も同じだろう?と、匡様は微笑む。

「そして、研究の結果、始祖は魔族が人間を喰らうと魔力が上がるという伝承の元、人間の生き血を啜った。」

「人間の、血・・・」

「・・・人間の血を啜る事によって始祖の魔力も上がり、血を啜れば永遠に等しい時を生きられるようになった」

「・・・それで、そのあとは?」

「簡単な話だ、同じような生まれのものを自分と同じような身体にし、子を成し、朽ち果て───俺たちがいる」

そうしていつか、血を啜る事からヴァンパイアと呼ばれる様になった───

「長い時を生きるのは、そういう理由だ」

「・・・ヴァンパイアの歴史の始まりに、そんな事があったなんて───」

きっと、ヒトは誰も知らない。

恐れ嫌うだけの正体なんて・・・。

でも、血を啜る事で、痛みを与える事でしか生きられないのがヴァンパイアで・・・。

凄く、悲しい生き物のような気がした。




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