Bloody×Lovers
「そんなに悲しそうな顔をするな」

匡様に頭を撫でられる。

「まぁ、俺も聞いただけで見ていたわけではないから・・・悪魔でも伝説だがな」

「じゃあ・・・人間をヴァンパイアにしてしまうわけは?」

知りたかった事。

悲しい生き物だから、寂しい生き物だから。

「知りたいのか?」

「・・・知りたいです、すごく、知りたい」

「・・・決して、誰にも言うなよ」

「は、い・・・」

外はきっと真っ暗で───

綺麗な月が昇っているんだろうか。

ただ何か、何処かに違和感を感じた。

「そろそろ帰れ・・・」

話し終わった後、匡様に言われた。

「いや、です・・・」

「お前がいやでも、だ。これ以上は・・・キツイ」

「で、もっ・・・!!」

家には、あの人がいるのに───

「明日になったら、また来い。それなら良いだろう?」

辛そうな顔。

誰かを苦しめるのは、大罪なの───

昔、教会の牧師様の奥さんに言われたことがある。

聖女と讃えられた彼女の言葉を思い出し、コクリとうなずいた。

「明日、絶対に来ますからっ!!」

私は匡様に着替えを渡してもらい、急いで着替えて帰った。

明日───

また、会いたいなと思いながら。

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