Bloody×Lovers
「落ち着きなさい隼騎!!」
私の一括で、隼騎は弾かれたように体を揺らした。
「ぁ、わりぃ・・・」
でも、耳は引っ込まなかった。
「隼騎、耳、引っ込まないの?」
「あー・・・あとで説明するから」
アミさんは斜め下に瞳をやった。
【帰るわ。・・・風雅は、今はもう死神だから───】
ふ、と。アミさんが伝線に止まっているすずめを見た。
【覗き見されるの、趣味じゃないわ・・・】
意味深というか意味不明なことをつぶやくと、アミさんは私たちに背を向けた。
そのまま、暗い裏路地へと消えていった。
先に口を開いたのは隼騎だった。
「で、美音。説明してもらおうか」
「説明するのは隼騎でしょ?」
「・・・」
「・・・」
「「じゃんけんぽん!!」」
「・・・」
「・・・!!」
負けた・・・。
私がグーで隼騎がパー。
でも───
「私、何を説明すればいいの・・・?」
隠し事なんて、無いはずなんだけど・・・。
「分かんねぇの?」
分からない。
「じゃあ、教えてやってもいいけど───」
隼騎の顔が私の耳元に寄せられる。
「何で美音の体から、ヴァンパイアのにおいがすんの?」
私は隼騎の顔をもう一度見る。
「じゅん、き・・・?」
「答えれるよな?」
「えっと、あ、の。これは───」
「身体からするって事は、もう吸血されてんだな?」
瞳が、逸らせなかった。