Bloody×Lovers

「ごめん、私・・・」

「美音」

冷たく、カラダに直接冷水を被せられたような恐怖。

「隼騎・・・ごめん、本当に───」

「言いたくねぇの?」

俯くしかなくて、戸惑う。

「じゃあ・・・」

「・・・ッ」

顎を指であげられて、視線が絡み合う。


「そいつの名前、言え」


「なま、え・・・?」

「そ、名前」

言っていいの・・・?

あの人の名前を言ってもいいの?

私は隼騎の手をすり抜けて、走り出した。

「美音・・・!?」

どうすればいいんだろう。

どうすれば伝えられるの?

どうすれば───

疑問ばかりが頭をぐるぐるとまわる。

「はぁ・・・っ」

ばたん、と家のドアを閉める。

「・・・っく、ん!」

漏れる嗚咽。

苦しくて、痛いのに、逢いたいと思った。



隼騎、

好き、好きだよ。

”罪を犯した”あの日から、

私はあなたが大好きだった。


でも、でもね?

今、心の片隅に、

あなたと、もう一人の人がいるの。



どうして・・・?
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