Bloody×Lovers
You cannot say helps.
冷たい冷たい路地裏。
普段なら黄昏時で、美しい街並みも雲のせいで暗く沈んでいる。
「お前が美音に痕つけたヤツ?」
「美音・・・生憎だがそんな名前の人間は知らない」
「じゃあ何で、そんな所で見てたワケ?」
そんな所───
隼騎から約7mほど上のマンションの屋上で、
茶髪の緑眼をした男は答える。
「お前の連れに用があっただけだ」
「美音のコトじゃん・・・」
「美音というのか、初めて知った」
「・・・は?お前、血吸ったんじゃねぇの?」
「吸った、だが本名までは知らなかった。それだけだ」
「ワケわかんねぇ・・・」
冷たい風が、匡の言葉を攫っていった。
『紗姫に近づくな』
そして───
冷たい風に誘われるように、
姿を消した。