Bloody×Lovers
「じゃあ・・・」
「何だ?」
少し気になっていたことを、聞こうとする私の口。
「あなたの、名前は?」
「・・・俺か」
男性は、自虐的に笑った。
「───匡、だ」
「きょう、さま・・・」
”さま”というのは、わざと付けたんじゃない。
癖、というものだった。
「さま、か。俺の名を呼ぶ人間は久しぶりだな」
納得、してるし・・・。
匡様が私が付けてしまったさまに抵抗がないということは、身分が高いということなんだろう、と私は考えた。
『パサリ』
目の前に出されたのは、真冬にもかかわらず黒のキャミワンピ。
「これ・・・」
「着替えろ、お前の服には血を付けてしまったからな」
気付いて、ない?
「今、冬ですよ?」
「関係ない」
寒くてもいいから、着ろということらしい。
「向こう、むいててください」
「言われなくても」
匡様は既に私に背を向けていた。
下着以外は全て脱いで、キャミワンピを来た。
・・・あれ?
「寒く、ない?」
「着替え終わったのか?」
「何でですか?」
匡様は私から質問が来てから着がえ終わったと判断したらしく、やっとこっちを向いた。
「お前、心当たりがあるんじゃないのか?」
そうだ、確かあの人も使っていた気がする・・・。
「魔術?」
「まあ、この国の言葉ではそうなるな」
匡様が私に手を差し伸べる。
私はその手をとってベッドを降りた。