Bloody×Lovers
Search Things
「狼族か・・・お前の記憶の中に、赤いモノがあったが?」
隼騎・・・。
「狼族は、血は啜らないはずだ」
最後に会ったのは、何年前なんだろう。
「なぜ、あの男はお前の血を啜った」
「・・・そこまでは、見えないんですか」
「お前の意思がそれを拒んだ、まるでシャットアウトでもするようにな」
確かに、見られたくはないと思った。
あれは、私と隼騎だけの問題じゃないから。
「・・・傷を増やしてしまったな」
まるで、人形でも扱うような言葉・・・。
「人だから、時間はかかるけど、傷は消えます」
「傷の消えぬ生き物などいない」
「じゃあ、私を人形みたいに扱わないで下さい」
ハッキリと、匡様の瞳を見ていった。
「・・・悪かった」
匡様に頭を下げられると不思議な気持ちになった。
「落ち着いたら、家に帰れ」
「・・・え?」
「お前にも”家族”というものはあるのだろう?」
家族なんて・・・。
「あります、けど・・・帰りたくは、ないです」
「・・・。」
匡様は何事かを考え込むかのように、顎に手を当てて、俯いてしまった。