毒舌彼氏と恋愛中
ーーガラッ
教室のドアを開けると芽衣が驚いたように振り返った。
「真一くん。おかえり。」
芽衣はくったくのない笑顔で笑う。
そのかおに俺の胸はキュッとして、
同時に愛しさと申し訳なさがあふれてきた。
「真一くん?帰ろ?」
芽衣の声にぼくはハッとして我に返る。
「ん?あぁ。」
そう言って俺は急いで歩き出した。
ーーーーーー・・・
ーーーー・・・
ーー・・・
やさしくしてもっと言葉で伝えようと思ったはいいものの、
どうしたらいいのか全くわからない。
今日ほど自分の不甲斐なさを呪ったことはないだろう。
芽衣はいつものように隣で楽しそうに話している。
「でさ、ちょっと窓の方見てただけで数学の先生すぐ怒るの。
そんでそのあとずっとあたしのことばっか指してくるの。
ひどくない?ほんのちょっとなんだよ?」
「そっか。それはひどいね。」
あくまで優しく・・・
「もう次集中攻撃されたらボイコットしてやろうかな。笑」
「いいと思うよ。芽衣はいつもいい子だからたまには。」
優しく・・・
俺はそればっかりに必死だった。
・・・だからぼくは気づかなかった。
芽衣が付いてきていないことにーーー