嵐な恋~アラコイ~

その6


「・・・・・・」
「紗雪大丈夫か?」
「ぅ・・・ん」
「ほんとに?」
「ありがと。でも大丈夫だよ」
「顔色わるいよ」
「そう?」
「ほんとに大丈夫?」
「杏樹大丈夫だよ」
「そう?」

あたしはあのあと潤におんぶされ
家まで帰ってきたのだ

「杏樹・・・」
「ん?」
「気持ち悪いよぉ」
「え!?大丈夫!?」
「潤君洗面所借りるね!」
「おう」

「大丈夫?」
「うん」
「お風呂入っておいで?」
「うん」
「着替えとってくるね」
「うん」

「ねぇ潤君?」
「お?」
「紗雪の部屋ってどこ?」
「あっち」
「ありがと」
「どうだった」
「いま風呂に入ってる」
「そっか」

パシャパシャパシャ
あたしはいったん
風呂から上がった。
シャンプーもリンスも
なにもないからだ
探しているとそこに
剃刀があった
あたしはそれに手を
のばし、剃刀で
髪を切ろうとしたのだ
けれども・・・
切ろうとしても
切れないのだ
「なんで?」
こんな髪切りたいのに
あのひとがたくさん
触ったこの髪を・・・
でも切れているのは
自分の体と
髪の毛10本ぐらいだった
「なんで、切れないのよ」

「紗雪?入るよ?」
「紗雪?」
「どした?」
「紗雪から返事がない」
「おい!紗雪!!」
「ちょっとあたし見てくる」
「頼む・・・」

「ちょっ紗雪何してるの!?」
「・・・・・・」
「紗雪!!やめて!!」
「ぉ…ち・・・ないの」
「え?」
「何度洗っても落ちないの!」
「もぅ、いや・・・」
「何もかもないの!!」
「杏樹、はいってもいいか?」
「うん」
「紗雪?」
「えっ」

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