ライオン岬
「でも、行者が修行をしたのなら、どうくつの中はだいじょうぶのはずだろ?」
「千年も昔の話じゃないか。今は中の空気はどうなっているのかはわからないよ」
 ぼくが言うと、
「わかったよ。おれ、そのときまでにローソクをうまくたてるものを作っておく」
 ユーイチは身を乗り出すようにして言ってくれた。
「ああ、たのむな」
「で、遠乗りのことなんだけど、うちの弟もつれてっていいかな?」
 ぼくは、ユーイチの弟、4年生のヒロアキと2年生のマサルを思い出した。どっちも明るくて元気いっぱいのやつらだ。
「ああ、いいよ」
 それからぼくらは、じゃあな、と言って別れた。

< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop